No.67 ♂ マナブ

2014/5/27九十九島動植物園森きらら生まれ。初の動物園生まれカップルから誕生した。2014/12/2福岡市動物園へ 2015/1/15 京都市動物園 2016年に先天的心疾患が見つかった。2017/2/28に死亡。その後動物園で繁殖した個体のいくつかに同様な先天的心疾患がある個体が見つかったため、初期のファウンダにこの因子を持つ個体がいたのではないかと推測される。

京都市動物園のHPから転載(一部編集:画像も)

繁殖棟のツシマヤマネコのこと。
まずはみなさまにお詫びをしなければなりません。

繁殖棟にいる非公開のヤマネコたちのことをブログなどでお知らせしていきますと言ったのに,長らくお知らせができていませんでした。

実は,オスに病気が見つかったのです。

5月を過ぎ,1歳の誕生日を迎える前に体調が悪くなり,少しずつエサを食べなくなっていきました。
いろいろ試したのですが,とうとう食べなくなったためやむを得ず園内の動物病院に入院。
鼻からチューブを食道まで入れ,強制的に流動食を流し込むという日々が続きました。

入院の間,様々な検査をしました。
どうやら心臓がおかしいということで,さらに詳しい検査をその道のスペシャリストにお願いし,動物園外でも検査をしました。

市内の動物病院でCTスキャンの撮影を始め,いくつかの検査によってやはり心臓に問題があることがわかりました。

その後,大阪府立大学獣医臨床センターで精密検査を受けたところ,先天性の「三尖弁異形成」という診断でした。
わかりやすく言いますと,「心臓の中にある三尖弁という弁に生まれつき異常がある」ということです。

全身を巡った体の血液は心臓に還ってきて「右心房→右心室→肺→左心房→左心室」を経てまた全身に送られていきます。
三尖弁は右心房と右心室の間にある静脈血の逆流を防ぐための弁です。
その弁の位置が異常で,常に逆流している状態なのです。

先天性であり,とても負担がかかる状態での手術は無理と判断し,環境省と日本動物園水族館協会とも相談した結果,このまま余生を京都市動物園で穏やかに送ってもらうことになりました。

動物園の枠を超え,その道のスペシャリストのご協力で確定診断ができ,投薬のアドバイスもいただきました。
現在は食欲旺盛で,薬のついたエサも自ら食べ安定した日々を送っています。

気温の変化や上下運動など,心臓に負担がかかることを避けるように管理しております。

この病気は,体調が良くても突然死することがあると聞いています。
「今日1日,生きていてくれたことが嬉しい!」と感じている毎日です。
 
残念ながら日本のツシマヤマネコの繁殖には貢献できませんが,1日でも長く快適に過ごせるように管理していきたいと思いますので暖かく見守っていてください。

(1) 2015年5月から食欲不振傾向がみられ,その後削痩,腹水の貯留が認めら れ,拡張型心筋症と診断,治療を開始する。
(2) 同年6月に京都市内の動物病院,さらに8月12日に大阪府立大学生命環境科 学附属獣医臨床センターにて精密検査を受け,非常にまれな先天性心疾患である 三尖弁異形成と診断された。
(3) その後も定期検査を行いながら投薬治療を継続し状態は安定していたが,2017年2月に入り食欲が減退。投薬不能の場合には強制で投薬してきたが,2月 28日正午過ぎ元気消失,呼吸速迫。酸素吸入等治療を行ったが。午後1時30 分死亡を確認

Share:

Author: ねこりん